フラット35は住宅金融公庫が公庫融資に代わって投入した長期固定金利の住宅ローンです。当初「フラット35買取型」だけでしたが「フラット35保証型」も商品化され、取り扱う民間金融機関によって自由度の高い住宅ローンが提供されています。
また、省エネルギーや耐震性能、バリアフリーなど優良住宅の条件を満たせばより低金利が提供されるフラット35S(優良住宅取得支援制度)の活用方法も解説します。
フラット35買取型と保証型比較
住宅金融公庫はフラット35を2003年から導入し、公庫融資に代わって長期固定ローンを提供してきました。
当初のフラット35は、民間金融機関の住宅ローンを買い取り、一括して証券化する「フラット35買取型」が主流でした。2007年4月に住宅金融公庫が住宅金融支援機構に移行し同時に「フラット35買取型」も内容を刷新し、さらに「フラット35保証型」という新しいタイプの住宅ローンも商品化されました。
フラット35買取型とフラット35保証型を比較します。
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(注)取扱金融機関が個別に決定
2007年4月の改定で「フラット35買取型」は、融資可能額がそれまでの購入費用の80%だったのを90%に拡大されました。また、団体信用生命保険にも加入できるようになりました。
新たに登場した「フラット35保証型」はローンの証券化を民間金融機関が行い、住宅金融支援機構はローン利用者が返済不能になった場合に保証金を支払う仕組みです。保証型は民間金融機関の自由度が高く、金利も金融機関で決定でき住宅ローンの借り換えにも対応できるようになりました。
フラット35Sとは

優良住宅を購入されたり、建築される場合、フラット35をさらに低金利で利用できるフラット35Sが利用できる可能性があります。
フラット35S(優良住宅取得支援制度)とは、国が優良住宅の普及を計る目的で実施している支援制度の一つで、フラット35に適用される金利を当初5年間0.3%低減する優遇措置です。
フラット35Sの優遇措置
- 当初5年間0.3%優遇する金利適用
フラット35S適用条件
- 優良住宅の技術基準を満たす住宅
- 1.省エネルギー性
(省エネルギー対策等級4の住宅)
2.耐震性
(耐震等級2または3の住宅,免震建築物)
3.バリアフリー性
(高齢者等配慮対策等級3,4,または5の住宅)
4.耐久性・可変性
(劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2または3の住宅)上記のうちいずれか2つ以上を満たした住宅
- 受付期間中にフラット35S適用金融機関に申込み
- フラット35S(優良住宅取得支援制度)には、受付期間があります。
受付期間などは住宅金融支援機構のHPなどで確認してください。 - フラット35買取型、フラット35保証型に対して
- フラット35S(優良住宅取得支援制度)は、フラット35買取型、フラット35保証型どちらにも適用可能です。ただし、住宅ローン借り換え時にはフラット35Sは適用できません。
フラット35Sの申込みで注意しなければいけないのは、申込み期間が限られていることです。平成18年は6月から4ヶ月間、平成19年は4月からの4ヶ月と10月からの3ヶ月間でした。
平成20年からはフラット35S適用条件が厳しくなり、優良住宅技術基準の必要項目が1項目以上から2項目以上になりました。
フラット35と併用できる住宅ローン
フラット35は2007年の改定で購入費用の100%(保証型の場合)まで利用することが可能になりました。しかし、民間金融機関が提供する独自住宅ローンと組み合わせることで、よりリスクを低減したり、低金利の民間住宅ローンを活用することも可能です。
フラット35と組み合わせられる住宅ローン
- 民間金融機関の独自住宅ローン
- フラット35と民間金融機関が独自に提供する固定金利や変動金利の住宅ローンを組み合わせ「フラット35パッケージ」があります。
将来の金利上昇リスク対策と変動金利型住宅ローンの低金利メリットの両方を得られる住宅ローンパッケージです。
下記に「フラット35パッケージ」利用のメリットを上げます - 財形住宅融資との組み合わせ
- 会社員の方で財形貯蓄を行われているなら、財形住宅融資を利用できます。財形住宅融資とフラット35を併用して住宅ローンを組むことが出来ます。
財形住宅融資は5年間固定金利でフラット35よりも低金利が適用されることが多いので、当初返済額を抑えたい方にお勧めです。
フラット35パッケージ利用時のメリット
- 万が一返済が困難になった場合は、住宅金融支援機構と金融機関が協調して返済条件を変更するなどの相談が可能
- 組み合わせる住宅ローンは、基本的にフラット35と同様、職業、勤続年数等による申込要件がない
- フラット35の中間資金としてプロパーローン融資分を先行・分割交付可能
フラット35パッケージを利用したからと言って必ずしも、将来の金利上昇や低金利が続いた場合のリスク対策にはなりません。予想以上に低金利が続いたときは、フラット35を利用せず変動金利型住宅ローンだけを利用した方が総支払額は少なくなります。また、想定以上に金利が高くなった場合は、全期間固定金利のフラット35だけを利用した方が総支払額は少なくなります。
尚、「フラット35パッケージ」は取り扱う民間金融機関によって条件が異なりますので事前にご確認ください。